図5〜図7の↑は画像のWindow幅を広げれば明白になるが,図5の十二指腸内ガス(白矢印)と比較して辺縁(輪郭)が鮮明ではないから遊離ガスではなく脂肪組織の可能性が高い.相当量の腹水がある(※)が,胃液または胆汁と比べやや高吸収値を呈しており血性腹水であろう.出血量は肝周囲に100,脾臓周囲に300,Morison窩(図10)に100,骨盤腔内に500で,合計は1000ml+膵周囲の血腫(図10〜図13:※)量となる.図5のIVCが虚脱しており重度の循環血液量不足である.図7〜図13の△はextravasationを示し,複数部位から出血している.図5〜図7の膵頭部は境界不鮮明な低吸収域(▲)を呈し,膵背側の辺縁も不鮮明で損傷を示唆するが,delayed phaseを撮ればもっと所見が明白になる可能性がある.もう一つ見落としてはいけない大事な所見がある.図11〜図13のGは十二指腸外の遊離ガスで十二指腸穿孔を意味する.膵外傷を認めたら合併損傷として十二指腸穿孔の所見を検索することを忘れてはならない.T:膵尾部,B:体部,H:頭部,Du:十二指腸.手術で膵頭部断裂(IIIb),離断部からの動脈性出血と十二指腸水平部に2ヶ所の穿孔を認めた.膵頭十二指腸切除が施行された.
|