上図のearly phase造影CTで,膵尾部に断裂像を思わせる低吸収域(図4と図5:△)が認められ,より末梢側の膵には淡い低吸収域(図3:▲)が観察される.下段のdelayed phaseの図9では,early phaseで淡い低吸収値を呈していた尾側領域が正常域同様に造影され,図10と図11の断裂像も狭小化し,より鮮明になっている.動脈相で認められた図3の淡い低吸収域(▲)は,打撲による浮腫や虚血などを表しているのであり,真の損傷部を意味するものではない.膵損傷の診断にあたっては double phase造影CTの各phaseの画像を慎重に比較評価する必要がある.ERPで尾部での造影剤の漏出を認め(図A:↑),脾臓温存・膵尾部切除が施行された.
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