文献考察:dual(double)phase 造影CTを撮るもう一つの理由
グラフ 救急領域のCT画像 肝損傷(図説)
Author:溝端康光(大阪府立泉州救命救急センター), 横田順一朗
Source:外科治療(0433-2644)88巻3号 Page359-373(2003.03)
肝損傷における出血は,肝動脈の破綻による動脈性出血と,門脈や肝静脈の破綻による非動脈性出血があり,TAEで止血し得るのは動脈性出血のみである.そのため,主要な出血源が動脈性か非動脈性かを血管造影に先立って鑑別することができればより的確な初期治療を展開することが可能となる.門脈相撮影に先だって動脈相での撮影を追加したdual phase造影CTは両者を鑑別する可能性をもった撮影手法として注目される.extravasationが動脈相と門脈相両方に認められれば,肝損傷に伴う出血は動脈性と考えられる.一方,extravasationが動脈相では存在せず,門脈相で初めて描出されれば,出血は非動脈性であると判断することが可能である.
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