胃の著明な拡張があるので,閉塞病変を検索するため図10の胃前庭部1から十二指腸側へ追跡すると,図6の5から壁肥厚が始まり(△),図4と図3で全周性となる.十二指腸(D)は図4から始まるが,拡張がないので,胃の幽門輪近くでの閉塞である.病変(△)の造影効果は強くはないが全体的に不整で,辺縁も不整だから進行性の悪性腫瘍を強く示唆する.図2〜図4には腹水を認め(※),図5〜図10の↑は腫大したリンパ節の可能性が高く,進行性の胃癌をさらに裏付ける所見である.生検で胃癌と診断された.図Aは切除標本の胃前壁漿膜面で,腫瘍が漿膜に達し露出した(↑)胃癌である.腹水の細胞診もクラスVであった.
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