その他(Miscellaneous)シリーズ8 RESIDENT COURSE 解答 【症例 MR 36】

左尿管結石.Left ureteral stone



左腎の腎盂と上部尿管(↑)が,右側と比較してやや拡張しているので,尿管を尾側へ追跡すると図8と図9で結石(△)を認め,左尿管結石嵌頓による閉塞が原因の水腎症である.






参考症例(左尿管結石):26歳女性.急に発症した左腰背部痛で来院.
左腎は腫大し,右に比べ造影効果が遅延している.腎盂が拡張(↑)を示し,△が尿管結石.図9は造影CT後の腹部単純写真で,▲が結石.









文献考察:尿路結石
【救急マニュアル2004】 主要疾患の救急対応 泌尿器系 尿路結石症(解説)
  Author:奴田原紀久雄(杏林大学 医学部泌尿器科学講座), 東原英二
  Source:綜合臨床(0371-1900)53巻Suppl. Page1363-1366(2004.04)
要旨:尿路結石は比較的多く遭遇する急性腹症の一つで,他の腹腔内疾患と比べると,腹膜炎症状を呈することはなく,同時に急性腎盂腎炎や膿腎症を合併していなければ敗血症を起こす危険もない.しかし,緊急度および重症度の高い状態が2つある.1:両側尿管結石嵌頓または単腎症例での尿管結石嵌頓で腎後性腎不全を起こしている場合.救急処置として経尿道的ダブルJステントカテーテル留置や,経皮的腎瘻術を速やかに施行する必要がある.術後は閉塞解除後利尿が起こるため十分な水電解質管理が必要になる.2:尿管結石に急性腎盂腎炎や膿腎症を合併し発熱が見られ,敗血症への移行が危惧される例である.セファロスポリン系やアミノグルコシド系抗生物質の投与を行い,発熱や炎症反応の推移を観察する.尿培養の結果が出ればその感受性試験の結果に応じて抗生物質を選択する.嵌頓した尿管結石に伴う急性腎盂腎炎は膿腎症や敗血症に移行しやすく,可及的迅速に専門医に相談または転送することが勧められる.嵌頓した結石に伴う膿腎症にはダブルJステントカテーテル留置や経皮的腎瘻術が施行される.
  【参照症例】   1. 【症例 LR 44】
2. 【症例 MR 7】

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