図15と図16で骨盤腔内に少量の腹水(※)がある.図17の直腸1から逆行性に追跡すると図のようになる.図1〜図13の↑は腸管外のガスで,図1〜図3では大動脈周囲の後腹膜腔内に存在することが明白である.図5〜図12の△は比較的均一で,含むガスの量が少なく,筋肉よりdensityの高い軟部組織で,血腫であろう.図13〜図17の11はS状結腸内の糞便だが,スライス数を考慮すると血腫はS状結腸外に存在すると思われる.大動脈周囲の後腹膜腔にガスが存在すること,腹腔内には血腫を認めないことを考え合わせると後腹膜内血腫と言える.図9〜図12の糞便▲も,上下に広がるスライス数を考慮すれば腸管外の糞便と推測する.従って診断は出血を伴うS状結腸の後腹膜内穿孔となる.手術でS状結腸間膜から後腹膜に,糞便を含む大量の血腫を認めた(図A).図Bは後腹膜側から見た切除標本,↑が7cm大の穿孔部で,対側壁の粘膜が見えている.病理:特発性穿孔.
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