参考文献:十二指腸静脈瘤
【知っておくべき疾患 十二指腸】 十二指腸静脈瘤
Author:宮島伸宜(帝京大学医学部附属溝口病院 外科), 田尻孝, 山川達郎
Source:臨床消化器内科(0911-601X)15巻9号 Page1243-1248(2000.07)
十二指腸静脈瘤はまれな疾患ではあるが,いったん破裂 出血をきたすと致命的になる可能性がある.また,基礎疾患に肝硬変や門脈圧亢進症をもつ場合が多いので,治療方針の決定に難渋する場合も多い.診断には上部消化管内視鏡検査,腹部CTscan検査が有用であるが,腹部血管造影や経皮経肝門脈造影を行えばさらに確実である.治療は内視鏡的硬化療法や静脈瘤結紮術のほかに経カテーテル的門脈塞栓術,手術によるシャント術などがあるが,いずれもー長一短である.各症例の肝予備能などを十分に検討し,治療方針を決定する必要がある.また一次止血に成功しても再出血の危険があるため,十分な経過観察が必要である.
文献考察:十二指腸静脈瘤,本邦報告例153例の検討 十二指腸静脈瘤に結紮術及び術中硬化療法が有用であった1例
Author:牧野洋知(藤沢市民病院), 国崎主税, 舛井秀宣, 渡会伸治, 嶋田紘
Source:日本消化器外科学会雑誌(0386-9768)32巻12号 Page2664-2668(1999.12)
Abstract:65歳男.肝硬変の診断で他院にて加療中,下血を認め,Hb4.9g/dlの貧血を呈し精査目的で入院となった.上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行脚に静脈瘤を認めた.低緊張性十二指腸造影検査では,同部位に境界明瞭,表面平滑な陰影欠損として描出された.経皮経肝門脈造影で,後下膵十二指腸静脈が主たる流入路,精巣静脈が流出路で下大動脈とのシャントを認めた.後下膵十二指腸静脈に対し経皮経肝門脈塞栓術を施行した.一旦軽快退院となったが,術後約2ヵ月後に下血・貧血が再度認められたため,再入院となった.精巣静脈造影検査で,十二指腸静脈瘤が残存していたため,開腹下に静脈瘤を結紮切除後,残存した静脈瘤内にエタノールアミンオレイトを注入し,術中硬化療法を施行した.術後2年経過した現在再発なく経過良好である. 本邦報告例153例の検討(Table2とTable3).
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