その他(Miscellaneous)シリーズ4 EXPERT COURSE 解答 【症例 ME 19】

盲腸軸捻転.Cecal volvulus








拡張した腸管の真ん中あたりの図14のA1から追跡すると,頭側は図5のJで盲端になり,尾側は図22でUターンして図17と図16でbeak signを示し(↑),図16の15で閉塞しそうだ.図12の下行結腸D1は→D2→D3→D4→D5となり,図11から横行結腸T1となり図のように進展する.図17〜図23で右側に結腸を認めないので図16と図17あたりで盲腸が捻転し,図5のJ が盲腸先端と思われる.図8と図9のTIは回腸末端か? 横行結腸捻転を疑い大腸ファイバー検査を行ったが,横行結腸まで異常を認めない.肝弯曲部を通過できずガストログラフィン造影を行った(図A).▲で閉塞を示し,※の部分と接するので,ガスで拡張した腸管は捻転した上行結腸と盲腸である.手術で時計回りに2回転半捻転した上行結腸と盲腸を認めた.壊死はなかったが再発予防のために右半結腸切除術を行った.












ME19
文献考察:盲腸軸捻転,本邦集計36例の検討
盲腸軸捻転症による大腸穿孔の1例(原著論文/症例報告)
  Author:平山一久(福井県済生会病院), 笠原善郎, 宗本義則, 斎藤英夫, 藤沢克憲, 三井毅, 浅田康行, 飯田善郎,
      三浦将司
  Source:外科(0016-593X)63巻8号 Page1009-1013(2001.08)
  Abstract:82歳女.食欲不振,腹痛を主訴に近医を受診し,腸閉塞を疑われ受診した.検査成績及び画像所見から,消化管穿孔に伴う汎発性腹膜炎と診断し開腹術を施行した.回盲部を切除し,上行結腸の粘液瘻と回腸人工肛門を増設した.盲腸は拡張し暗赤色で虚血性変化を伴い,盲腸前壁には穿孔部を認めた.術後,集学的治療を行ったが,多臓器不全により翌日死亡した.
追記:発症年令は10歳代と60歳以上に2相性の好発年齢を認めるが,10歳代の5例はすべて精神神経系疾患を伴っていた.男女差はない.本症の腹部X線検査による診断は困難で,閉塞部位の診断がついたものは2例(12.5%)にすぎない.注腸検査は有用で,施行された14例中12例(85.7%)に閉塞部位の同定が可能であった.死亡例は2例(9.1%).
  【参照症例】   1. 【症例 GE 45】
2. 右下腹部痛シリーズ7 【症例 RR 35】
3. 右下腹部痛シリーズ7 【症例 RE 35】

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