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その他(Miscellaneous)シリーズ4 RESIDENT COURSE 解答 【症例 MR 19】
腹部大動脈高位閉塞.Acute high(juxtarenal) occlusion of abdominal aorta
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全図で,胃と十二指腸を含め全腸管の壁の造影効果がかなり減弱しており,図16〜図19の下行結腸には壁内気腫を認め(△),全腸管壊死の可能性がある.図5〜図17の腹部大動脈はほとんど完全に閉塞し(↑)わずかの血流を認めるだけである.図1と図2で腹腔動脈が,図3と図4ではSMA起始部が閉塞しているが,SMAは図5から造影されるのは副側路からの血流によるものか? CIA:総腸骨動脈.図Aは血管造影で,腎動脈への血流は保たれているが,腹腔動脈,SMAと下腸間膜動脈は造影されていない.血液ガス検査でBE:-19.7mEq/l, アシドーシスが進行し数時間後に死亡した.
文献考察:
急性動脈閉塞症
石丸新,内野敬:急性動脈閉塞症,循環器症候群 III,別冊 日本臨床 領域別症候群 14:447-450.1996
急性動脈閉塞症は原因により,塞栓子(embolus)が他の部位から運ばれてきて動脈を閉塞する塞栓症(embolism)と,動脈内腔に障害(動脈硬化や血管炎など)があり,その部位に血栓形成が起こり動脈を閉塞する血栓症(thrombosis)に分けられる.症状は,1.疼痛(pain),2.脈拍消失(pulselessness),3.蒼白(pallor),4.知覚鈍麻(paresthesia),5.運動麻痺(paralysis),6.衰弱(prostration)の6つの徴候(6p)が有名である.典型例では,突然の疼痛で発症し,患肢は冷たく蒼白となり知覚鈍麻をきたす.さらに進むと斑状チアノーゼ(mottling cyanosis)を呈するようになり,運動麻痺,筋肉の硬直が現れ,皮膚に水疱を形成するようになる.重症度はI度:疼痛,脈拍消失,蒼白,冷感,II度:チアノーゼ,III度:運動麻痺,筋腫脹・壊死,に分類される.
文献考察:
腎傍(近位)大動脈閉塞
小須賀健一,山田慶一郎,山名一有,青柳成明.腎傍(近位)大動脈閉塞.循環器症候群 III.別冊 日本臨床 領域別症候群 14:345-347.1996
高位腹部大動脈閉塞症(high aortic occlusion)は腎傍(近位)大動脈閉塞(juxtarenal aortic occlusion)とも言われ,大動脈末梢領域から二次血栓が上行するLeriche症候群の最も進展した病態が多いが,上記症例のごとく急性に発症することもある.閉塞が腎動脈やSMA,腹腔動脈に及ぶことがあるため,時には致命的になる.臨床上最も問題となるのは血栓の上行進展により各分枝の閉塞をきたし側副路を遮断し腹部諸臓器の虚血を生じることであるので,一刻も早く血栓の上行進展を防ぐ外科治療を要する疾患である.
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