その他(Miscellaneous)シリーズ2 RESIDENT COURSE 解答 【症例 MR 10】

穿孔性虫垂炎.Perforated appendicitis








図1〜図4で胆嚢は短軸が5cm以上に腫大しているが,壁肥厚はなく,周囲脂肪組織の炎症所見もないので急性胆嚢炎ではない.右側結腸(A:上行結腸,C:盲腸)と小腸が主に腸液で拡張しているのは麻痺性イレウスで,何らかの進行した病変を示唆する.盲腸は図14までで,回腸末端(TI)は図8から始まり,めずらしく頭側へ上行する.図12の1から図11の4が外径1cm以上に腫大した虫垂で,急性虫垂炎である.図12のabはa とb となり尾側へ進展する小腸.麻痺性イレウスがあり,図9〜図14まで虫垂からかなり離れた部位まで,広範囲に及ぶ脂肪組織の浮腫(▲)は穿孔を強く示唆する.膿瘍を形成し4日後手術となった.







参考症例(穿孔性虫垂炎):統合失調症の48歳男性.3日前からの発熱と倦怠感のため来院した.腹痛はない.体温:39.7℃,腹部に圧痛を認めない.
図5で虫垂根部に嵌頓した糞石(白矢印)があり,図5と図6の△がガスを含む虫垂と思われるが,図3〜図5の↑は腸管外遊離ガスと液貯留を示しており,穿孔性虫垂炎である.図1と図2で広範囲の脂肪組織の濃度上昇(▲)も穿孔性虫垂炎を裏付ける所見である.2週間の抗生物質投与で治癒した.








  【参照症例】   1. 症例 LR 16〜20
2. 症例 LE 20
3. 症例 GR 33
4. 症例 GR 40

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