文献考察:気腫性膀胱炎emphysematous cystitis,本邦報告例28例の集計. 気腫性膀胱炎の2例
Author:米田憲二(福井県済生会病院), 川井恵一, 西田宏人, 山本亨, 赤倉由佳理, 宮山士朗, 山本秀和, 菅田敏明
Source:臨床放射線(0009-9252)47巻2号 Page349-353(2002.02)
Abstract:81歳と51歳女.いずれも骨盤部CTにより膀胱壁の全周性肥厚と膀胱周囲腔の脂肪織濃度上昇及び壁に一致したガス像を認め,超音波検査で膀胱壁の肥厚と後方に多重反射を伴うstrong echoを認めるなど,気腫性膀胱炎に特徴的な画像所見がみられ診断に有用であった.2例とも基礎疾患として糖尿病と神経因性膀胱を有しており,いずれも抗生剤投与と糖尿病の治療により膀胱炎は改善した.症例2では腎盂腎炎も合併していたが,ガスが腎盂内に限局しており保存的治療のみで改善しえた. 追記:気腫性膀胱炎は感染に伴うガス産生によって膀胱壁内や膀胱腔内あるいは両者にガスが貯留するまれな膀胱炎である.28例の集計で年令は46〜83歳(平均66.7歳),男女比は10:18,起炎菌はE.coli.が最も多く,ついでklebsiella pneumoniaeであった. 基礎疾患として,67.9%に糖尿病,50%に神経因性膀胱や尿道狭窄などの排尿障害の合併がみられた.気腫性腎盂腎炎を伴わなければ予後はよく,抗生物質の投与と基礎疾患の改善で多くは数日以内に治癒する.
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