その他(Miscellaneous)シリーズ1 EXPERT COURSE 解答 【症例 ME 3】

Meckel憩室潰瘍からの出血.Bleeding Meckel’s diverticulum with an ulcer






大腸ファイバー検査直後のCTだから大腸はガスで拡張し,患者が動いたためにアーチファクトを認めるが,小腸出血の診断が可能である.左側のDが下行結腸だから図2〜図9の△は小腸内の血腫周囲に漏出した造影剤であり,原因疾患は不明だが小腸(回腸)出血である.図Aが上腸間膜動脈造影で異常血管(卵黄動脈)を示し(↑),その選択的造影でextravasationを認め(図B:↑),スポンゼル砕片で塞栓し手術を行った.回腸に血腫で腫大したMeckel憩室(図C:▲)が発見され,憩室内に潰瘍(図D:白矢印)を形成し出血源になっていた.病理:Meckel憩室で,潰瘍辺縁には噴門腺類似の腺がみられ,潰瘍底には0.8mm程度の動脈が破綻しており出血源と考えられる.







文献考察:出血性成人Meckel憩室症,23例の集計
大量下血にて発症した成人Meckel憩室症の1例
  Author:山内孝(日本生命済生会附属日生病院), 宗田滋夫, 根津理一郎, 橋本純平, 吉川幸伸,
   打越史洋, 出口貴司,大嶋正人
  Source:日本臨床外科学会雑誌(1345-2843)61巻9号 Page2386-2390(2000.09)

要旨:1988年〜1999年までに集計できた20歳以上の成人出血性Meckel憩室症は23例で,平均年令は38.3歳(20〜69歳),男女比は20:3と圧倒的に男性が多い.大量出血またはHbが10g/dl以下の症例は73.9%で大量出血になる症例が多数を占める.病変部は潰瘍性病変が70%に,ビランが15%に認められ,病理検査で80%に胃粘膜組織を認めた.

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