文献考察: 下部消化管の出血性病変
下部消化管の出血性病変 緊急内視鏡検査(解説/特集)
Author:多田正大(京都がん協会), 森靖夫, 藤田直子, 他
Source:臨床消化器内科(0911-601X)12巻1号 Page9-15(1997.1)
要旨:緊急大腸内視鏡検査は下部消化管出血の治療方針の決定,緊急止血などの目的に重要な役割がある.筆者らは”緊急内視鏡検査とは下血後2日以内に行う検査”と定義している.重症例では何らの前処置をせずに検査を行う.患者にとって負担にならない範囲で内視鏡観察を試み,出血部位のおおまかな診断,出血が持続しているか否かなどの把握に努めることを第一の目標とする.表1:2日目の検査が最も診断能が高い,表2: 腸管内に中等量の血液が残存している場合(下血後2日目)に診断能は高い,表3:上部消化管出血の重症度分類にならって筆者らが定めた重症度の定義,表4:原因疾患は60歳以上では虚血性腸病変,憩室症,大腸癌/ポリープ,宿便性潰瘍の順に多く,40歳以下では抗生物質起因性腸炎,感染性腸炎,その他の腸炎の順に多かった.表5:重症例は6.5%(15/230例)で,宿便性潰瘍例では30.8%と高かった.
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