文献考察:lower GI bleeding
Bass BL、Turner DL:Acute Gastrointestinal Hemorrhage,In:Sabiston's Textbook of Surgery,17th Ed,WB Saunders,Philadelphia,1255-1264,2004
要旨:下部消化管出血とはTreitz靱帯より肛門側からの出血をいうが,95〜97%は大腸からの出血で,残りの3〜5%は小腸の出血である.全消化管出血の15%で,上部消化管出血よりかなり頻度は低いが,年令が増すに従って憩室とangiodysplasiaの頻度が高くなるので下部消化管出血の頻度も高くなる.上部消化管出血の15%の症例で,短時間に1,000ml以上の出血例で鮮血便(hematochezia)を呈することがあるので注意を要する.上部消化管出血ほどショックになる頻度は高くなく,自然止血する場合が多い.出血源の確定診断は上部消化管出血の内視鏡検査ほど高くない,理由は,1:下部消化管出血は間欠的に出血する例が多く,検査の時には自然止血している場合が多い,2:42%の症例で出血源として可能性のある病変が複数発見される.原因疾患は,憩室症:40〜55%, angiodysplasia(AVM:arteriovenous malformation):3〜20%,腫瘍性病変(癌,polyp):20%,炎症性疾患(潰瘍性大腸炎,出血性腸炎,放射性腸炎):15%, 血管病変(虚血性腸炎,血管炎,腸間膜虚血):まれ,hemorrhoids:2%以下.
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