文献考察:下血
【救急マニュアル2004】 症候・症状からの救急対応 下血
Author:福永睦(堺市立堺病院 外科), 古河洋
Source:綜合臨床(0371-1900)53巻Suppl. Page953-956(2004.04)
要旨:下血(melena)とは,語源的には肛門より排出される黒色便を指すが,一般臨床の場では肉眼的に明らかなタール便(tarry stool),血便(bloody stool),鮮血便(hematochezia)などの総称として用いられることが多い.下血(melena)の70%以上が上部消化管由来といわれる.上部消化管出血に比べショックになる頻度は低いが,診療中に病状が進行することもあり,止血術が施行されるまでは急変に対応できるようにしておく必要がある.ショックの5p(蒼白.pallor,冷汗.perspiration,脈拍触知不能.pulselessness,虚脱.prostration,呼吸不全.pulmonary deficiency)や,ショック指数(shock index:脈拍数÷収縮期血圧,0.5が正常,1.0が軽症,1.5が中等症,2.0が重症)などからショックが疑われる場合には,最優先で全身状態の改善に努めなければならない.表1に下血を呈する下部消化管疾患と臨床的特徴を記載した.
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