腸間膜の浮腫は明らかではないが,拡張した腸管はgaslessで,図8と図9で右側に少量の腹水(※)があるので絞扼性小腸閉塞の可能性は否定できない.図10のAと1から追跡してみると,図7のbeak signを示している(▲)Dと,図10の28で拡張が止まるが,右側にやや壁の造影効果が低下した腸管(a〜j)が残る.図7のaから追跡すると図のようになり,図8と図9に虚脱した小腸があるので図7のa と図8のj で閉塞するclosed loopであり,図7のDは単純閉塞の始まりである.造影効果の程度からは壊死はなさそうであるが,造影CTだけでは困難なこともある.CTで正確に診断され,3時間後に手術となった.バンドにより約20cmの回腸が絞扼され壊死に陥っていた(図A).絞扼性小腸閉塞を診断したらできるだけ早く手術すべきで,3時間も待つべきでない.虫垂切除後66年経って発症した絞扼性小腸閉塞である.
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