膵臓（T：尾部，B：体部，H：頭部）の腫大はないが，図８〜図１５で膵周囲に液貯留（※）と脂肪組織の濃度上昇（▲）があり急性膵炎である．膵臓は脾臓と同等に造影され壊死はない．図６の胆嚢の背側でややdensityが高くなっている△は沈殿した小さい結石の集合であると思われるが，図９〜図１３の総胆管（CBD）の拡張はなく，CTでは総胆管内に結石を認めない．しかし他に膵炎の原因がなければ落下結石による胆石膵炎の可能性は高い．大事なことは図２と図３で左葉肝内胆管が拡張し，図１〜図４で肝左葉が萎縮していることを認識することである．左葉に長期間肝内結石が存在していた所見である．図AがENBDチューブからの胆管造影で，総胆管と左葉肝内胆管の結石（↑）が描出されている．Du：十二指腸．手術で肝左葉の萎縮，肝内結石，総胆管結石，胆嚢内結石を認め，胆嚢摘出，総胆管結石除去と肝左葉切除を行った．