腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)8 EXPERT COURSE 解答 【症例 GE 38】

SMA塞栓症(2個).2 emboli of SMA






図4〜図11で下行結腸(DC)と一部の空腸(△)以外の小腸と結腸の壁の造影効果は明らかに減弱し虚血状態である.SMAを検索すると図4で内腔が造影されないが,次の図5から再び造影され,図8からまた造影されなくなる.つまり,図4で部分閉塞を起こす第一の塞栓があり,図8で完全閉塞をきたす第二の塞栓があると解釈する.図Aがその後行ったSMA血管造影で,▲が部分閉塞の第一の塞栓で,↑が完全閉塞の第二の塞栓でCT所見と一致する.SMAへウロキナーゼの投与で一時腹痛が改善したが,翌日腹痛再現したので手術を行った.回腸を中心に小腸の大量壊死を認めたが,血栓除去により一部の空腸が血行改善したので空腸170cm程を残し,上行結腸中央部まで切除し一期的吻合を行った.






文献考察:SMA塞栓の溶解療法
Brandt LJ, Boley SJ. AGA technical review on intestinal ischemia. American Gastrointestinal Association.
Gastroenterology. 2000 May;118(5):954-68. Review.  PMID: 10784596

要旨: SMA塞栓の溶解療法が成功しやすい例は,部分閉塞,SMAの分枝での閉塞,ileocolic arteryより末梢,症状発症から12時間以内などである.
  【参照症例】   1. 腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)2 【症例 GR 8】

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