肝臓,脾臓周囲から骨盤腔まで大量の腹水があるので絞扼性小腸閉塞であることはほぼ間違いないと思っていい.右側の小腸が,拡張はないが粘膜下浮腫で壁は肥厚し,造影効果が弱いのでそこに注目し図3のAと1から追跡する.Aは図9のDで閉塞し,1は図11の7で閉塞する.周囲に虚脱した小腸SBがあり,図11のaから拡張し始める,壁がよく造影されるのが単純閉塞の腸管で,AからD,1から7の腸管はclosed loopを形成している.2日後腹部エコー検査にて腹水の増量を認め手術になった.虫垂が後腹膜に癒着し,その後方で内ヘルニア様に約100cmの回腸が絞扼されていたが壊死所見はなく腸切除は行わなかった.CTでは造影効果はかなり減弱しており,壊死と診断してもおかしくない所見だが,2日経っても壊死所見を認めなかった.
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