腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)6 RESIDENT COURSE 解答 【症例 GR 27】

下行結腸逆行性腸重積.Retrograde intussusception of descending colon






右側結腸(盲腸:CE,上行結腸:AC)と下行結腸(DC)が拡張しているのは,図4〜図8の△の病変が原因である.図7で造影される最外側のAが外筒,浮腫で低濃度となり肥厚しているBが中筒,虚脱したCが内筒で,Dは血管を含む脂肪組織で腸間膜を意味し,典型的な腸重積である.図7の↑は外筒と中筒間に残ったガスで壁内気腫ではない.図12は注腸造影だが,閉塞部位↑は典型的な”カニ爪状“を呈さないのは何故? 理由は図10と図11の▲が重積嵌入部であり,逆行性腸重積だからである.図4の白矢印が重積の原因病変で,S状結腸のポリープであった.TI:回腸末端.注腸造影後腹痛がさらに増強したので手術となった.S状結腸の隆起性病変が先進部の下行結腸逆行性腸重積であった.重積部を切除し口側を人工肛門とした.病理:focal carcinoma in tubular adenoma.






文献考察;成人大腸逆行性腸重積症の本邦報告例13例の考察
S状結腸ポリープを先進とした逆行性腸重積症の1例(原著論文/症例報告)
  Author:高野学(大垣市民病院), 山口晃弘, 磯谷正敏, 金岡祐次
  Source:日本消化器外科学会雑誌(0386-9768)35巻1号 Page111-115(2002.01)
男:女=8:5,年令は48〜88歳(平均68歳),全例が腹痛を主訴とし,半数に腫瘤を触知し,血便を認めた症例はない.先進部腸管の腫瘍形態はすべて隆起型(ポリープ)で,占拠部位はすべてS状結腸.組織学的所見は高分化型腺癌3例(m癌が2例),腺腫内癌6例,腺腫が3例であった.

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