症例 EE 94 EXPERT COURSE 解答 【症例 EE 94】

胃癌破裂による腹腔内出血hemorrhage from ruptured gastric cancer




1.肝臓と脾臓周囲に中等量の腹水がある(↑)が、その腹水の性状は図4の胃内容液や、図8の胆石周囲の胆汁よりdensityが高く血性腹水であろうが明白なextravasationはない。2.腹水貯留は上腹部に多い。3.図2〜図5に腎動脈上部動脈瘤(A)と図11〜図16に腹部大動脈瘤(⇧)がある。切迫破裂または破裂例によくみられるcrescent sign(右下腹部痛シリーズExpertコース症例RE41参照)を認める(図13〜図15のC)がその周囲や後腹膜に血腫はない。4.図3〜図5に、胃小弯部を占拠する、中心にガスを含む、不整に造影される腫瘤がある(△)。4.結論:後腹膜に血腫はなく、動脈瘤破裂より胃小弯部の腫瘍破裂の可能性が高いと判断すべきだが、 crescent signを認めるので腹部大動脈瘤破裂を疑って手術しても間違いではない。腹部大動脈瘤破裂で前壁の破綻により腹腔内へ破裂するのを開放性破裂open ruptureと呼ばれるが、たいていの場合この症例以上の大量出血を伴い救命率は極めて低い。腹部大動脈瘤破裂と診断し緊急開腹手術を行った。約1,000ccの血性腹水があり、胃癌の破裂による腹腔内出血であった。胃全摘術を施行した。病理報告:advanced cancer of stomach













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