応用問題(Practical Exercises)31  解答 【症例 P31-7】

上腸間動脈塞栓症(腸管壊死なし)・SMA embolism with no bowel necrosis









上段の左腎の△は多発性の梗塞(すなわち塞栓症)を示している可能性が高い.壊死に陥っている腸管はなさそうだが,上段でSMAは図9の↑〜図13の↑まで造影されなくなるが,図14から再び造影効果を示し(白矢印),側副路(collateral)から血流が供給されている.IMV(Inferior Mesenteric Vein:下腸間膜静脈),IMA( Inferior Mesenteric Artery:下腸間膜動脈).しかし,図20〜図27の▲の小腸は壁肥厚(粘膜下浮腫または壁内血腫)を示しているので虚血の所見と解釈すべきであろう.血管造影が行われた.















図AでSMAは↑間の塞栓を示しているが,最も壊死に陥りやすい回盲部は側副路から血流が供給されており(1:中結腸動脈,2:右結腸動脈,3:回盲動脈,4:回腸動脈),図Cの静脈相でもSMVとその分枝が造影され十分な血流を裏付ける.しかし,図Aと図Bの,SMA中枢部以外の動脈はspasmを起こしていると解釈すべきで,上段の壁肥厚した小腸所見も考慮し,カテを留置し2,3日は塩酸パパベリンを持続動注すべきであろう.SMA塞栓症だが,側副路からの血流で腸管壊死はないと診断したら正解.



下段は8日後のCT.SMAは完全に開通した(白矢印と図16のCT angioの↑).腎臓は髄質が造影されていない早期相なので左腎梗塞の評価は困難である.
















  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ16 【症例 EE 78】

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