最上段のCTで腹水(※)を,下段の図23〜図25で腸間膜の濃度上昇(▲)を認めるようになった.イレウスチューブからガストログラフィン注入後のCTだから,ガストログラフィンで造影されない小腸は絞扼されている可能性が極めて高い.前回の閉塞部位を参考にし,図22の1から追跡すると数字順に展開し,隣の図21の50となり図21と図22のbeak sign(↑)で閉塞するのでclosed loop形成が証明された.口側の単純性閉塞はガストログラフィンで造影される図22の丸数字1から始まり(上下に垂直に走行する間は同じ奇数),同図の丸数字13となるが,そこで閉塞するのではなくイレウスチューブが挿入された小腸へ連結するのであろう.もう一つ大事な所見がある.絞扼された小腸が2倍の長さになっている.前回は1〜15とA〜J(10スライス)で合計25スライス,2日後の今回は50スライスとなっている(参照症例)ことに気がつけば真のexpert.そこで正確に診断され手術となった.60cm長の回腸がbandにより絞扼され虚血所見を認めたが,band切離しイレウスチューブで腸液を吸引したらピンクとなり切除は不要であった.今回の症例30-5と同様に2日経過している絞扼性小腸閉塞だが壊死を認めないまれな症例である.
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