腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)4 EXPERT COURSE 解答 【症例 GE 20】

S状結腸癌による大腸閉塞・右側結腸穿孔.Colon obstruction with sigmoid cancer and perforation of right colon








図5〜図8で左右結腸(ACとDC)とも拡張しているので,図9の下行結腸1から肛門側へ追跡する.図6で注意を要するのは,16は背側の腸管ABとは連結しないことである.つまり,ABはAとBになり頭側へ進展する横行結腸である.図15の33で閉塞するが,図13の31で後側の壁肥厚があり(△),図14と図15のよく造影される△が閉塞の原因の病変と思われ,癌であろう.図16のS1から図20のS5が肛門側のS状結腸と思われる.図7〜図10,図12〜図15の↑は腸管外遊離ガスであり,腸管の穿孔を意味する.図2,図5,図7,図9と図10の▲は壁内気腫であり,腸管壁の壊死または高度の虚血状態を示唆する.拡張の程度は10cm以内であり,拡張が虚血の原因とは考えにくく,図1のIVCが扁平化しているので高度の脱水による非閉塞性腸間膜虚血(NOMI:non-occlusive mesenteric ischemia)が主な原因と思われる.壁内気腫があるため緊急手術が行われた.触診では盲腸と上行結腸前壁に気腫を認めず,漿膜側からは壊死を認めなかった.S状結腸を切除し下行結腸に人工肛門を造設したが,粘膜は黒色化しており粘膜だけの壊死を認めた.虫垂切除後の強い癒着があり,また術前に穿孔の診断がなされていないため右側結腸の穿孔の確認はされていないが,術後は膿瘍形成せず順調に経過した.病理:S状結腸癌(StageIV SE H1 N1).












  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ17 【症例 EE 85】

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