図1〜図3と図13〜図18は省略した.最上段の図4〜図6で上行結腸(Ac)と横行結腸(Tc)が拡張しているので図4の下行結腸1から追跡すると,数字順に展開し図24の25で閉塞する.図22〜図24の↑はやや強い造影効果を示す壁肥厚または腫瘤でS状結腸癌であろう.肛門側は図27のS1から図24のS4となり癌病変と連結する.Re:直腸.上段の図5〜図8の▲もやや高濃度の壁肥厚と図7の4での狭窄を示し同時性癌を疑う.多数の石灰化像は,既往歴に記載されていないが,結核等の肉芽腫性病変によるリンパ節の石灰化であろう(図A:△).大腸ファイバー検査でS状結腸癌が確認され,経肛門的にイレウスチューブが挿入され(図A)減圧に成功し,後日ハルトマン手術が行われた.下行結腸癌はこのCTと手術で見逃され,S状結腸癌は進行性(stage IIIa,SE,N1,P0,H0)であったためさらなる検査は行われず,6ヶ月後下行結腸癌による閉塞で再来院し再度の手術となる.同時性多発大腸癌は5〜10%に発見されると言われ,決してまれではないので第2または第3病変を常に検索するよう注意を喚起したい.
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