応用問題(Practical Exercises)29  解答 【症例 P29-8】

上行結腸癌・盲腸穿孔.Perforation of cecum with ascending colon cancer








上段図10で遊離ガス(白矢印)と下段の右側結腸周囲の腹水(※)は右側腸管の穿孔を示唆する.拡張した上行結腸を図24の1から追跡すると,図20〜図17の,造影効果のやや強い壁肥厚または腫瘤(↑)となり閉塞する.上行結腸癌による盲腸または上行結腸穿孔と診断する.図9のほぼ虚脱したIVCは重度のhypovolemiaを意味する.手術で肝弯曲部近くの上行結腸癌による閉塞と,盲腸前壁に穿孔(図A:▲)を認めた.
大腸閉塞例で穿孔を起こしやすいrisk factorは,1)盲腸が最大径12cm以上,2)壁内気腫,3)小腸の拡張がない(Bauhin弁がone way valveとして機能している)の3所見が言われるが,この例では小腸の拡張を認めない.さらに強い脱水があると,脳と心臓に血流を増やすために(1)皮下や筋肉の血管,(2)腎動脈,さらに(3)腹腔動脈と上腸間膜動脈もspasmを起こし犠牲になる.この3機序で循環血液量が30%増加すると言われる.重度の脱水の上に,spasmにより腸管への血流が減れば虚血状態がさらに悪化し穿孔を早めると筆者は信ずる.













  【参照症例】   1. 腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)4 【症例 GE 20】

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