最上段の脾臓の白矢印は周囲に血腫や腹水を認めず,またシャープな線を描いているので分葉線であろう.上段で脾臓周囲と胃背側(膵周囲)に腹水(※)を認める.Densityは高くないが,図2でsentinel clot signを認めるので血性腹水であろう.図9〜図12で膵(T:尾部,B:体部,H:頭部,Du:十二指腸)の部分断裂(↑)を認めるが,参照症例のようにthin slice CTで“部分”の割合(程度)が精密に計測できる.
図10の1から横行結腸を逆行性に追跡すると,図8の30となり上行結腸と連結する.下段図21〜図23の▲は周囲脂肪組織の濃度上昇(△)と麻痺性イレウス(白矢印)を伴い,腸管外遊離ガスの可能性が極めて高い.従って,横行結腸または遊離ガス周辺の小腸穿孔を強く疑う.腹膜刺激症状があることから手術となった.肝弯曲部近くの横行結腸の間膜側への穿孔を認め,損傷部位を人工肛門とし,膵部分断裂は周囲にドレーンを挿入して経過観察とした.下記のその後の経過へ続く.
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