応用問題(Practical Exercises)28(外傷)  解答 【症例 P28-3】

腎断裂・空腸穿孔.Renal transection・ perforation of jejunum






上段の図4と図5の遊離ガス(白矢印)と腹水(※)は空腸穿孔によるものだがCTでは穿孔部位の診断はできない.上段で△は背筋と後腹膜腔のガスで刺創路であることを示唆する.左腎背側に血腫(▲)が示されているがextravasationは認めない.問題は,下段の図12と図13の腎臓が不整な低濃度を示しているのは具体的に何が起こっているかだ.この通常の横断(axial)画像で正確に推測するのは困難だが,最下段の矢状断(sagittal)画像では鋭利な刃物で腎下極がsharpに切断されている(↑)状態が鮮明に描出されている.このように通常の横断画像で診断困難なとき,冠状断(coronal)または矢状断(sagittal)画像は90度違った角度からの情報を提供してくれるので極めて有用である.手術でTreitz靱帯から15cmの部位で2箇所の穿孔と左横隔膜の刺創があり両者を修復した.左腎は冠状断画像どおりに切断され,尿管も切断されていたので下極切除,尿管は吻合しダブルJカテーテルが挿入された.










  【参照症例】   1. 日本外傷学会臓器損傷分類2008

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