肝右葉に損傷があり,肝と脾臓周囲に腹水を認めるが,図14の白矢印は線状の高濃度を呈し“sentinel clot sign”と呼ばれる血腫である.図10〜図13の↑は“contrast blush”(参照症例)を示しているが,1)extravasation? 2)extravasationを伴うpseudoaneurysm(仮性動脈瘤)? または3)extravasationを伴わないpseudoaneurysm? 1と2は夜中であろうと即刻血管造影とTAE(Transcatheter Arterial Embolization:経カテーテル血管塞栓術 ) または手術を要し,3はすでに止血しているので朝まで待てる所見であり,それらの鑑別は極めて重要であるが,single phase 造影CTでは不可能である.
下段の血管造影で▲が先に造影され同じ大きさで経過するのでpseudoaneurysmであり,△は遅れて出現し時間の経過と共にやや大きくなるのでextravasationである.ゼロフォム細片で塞栓し,塞栓後の図Fで白矢印の部位に示されていたpseudoaneurysmとextravasationが消失した.下段の図10〜図13を拡大したCTでも同様に▲はpseudoaneurysm,△はextravasationということになる.Double phase 造影CTで正確な診断が可能である.その後は順調に経過したが,第10病日に突然ショック状態となった→最下段画像.
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