応用問題(Practical Exercises)27(外傷)  解答 【症例 P27-6】

肝損傷・extravasationを伴う仮性動脈瘤.Liver injury with pseudoaneurysm and extravasation









肝右葉に損傷があり,肝と脾臓周囲に腹水を認めるが,図14の白矢印は線状の高濃度を呈し“sentinel clot sign”と呼ばれる血腫である.図10〜図13の↑は“contrast blush”(参照症例)を示しているが,1)extravasation? 2)extravasationを伴うpseudoaneurysm(仮性動脈瘤)? または3)extravasationを伴わないpseudoaneurysm? 1と2は夜中であろうと即刻血管造影とTAE(Transcatheter Arterial Embolization:経カテーテル血管塞栓術 ) または手術を要し,3はすでに止血しているので朝まで待てる所見であり,それらの鑑別は極めて重要であるが,single phase 造影CTでは不可能である.
下段の血管造影で▲が先に造影され同じ大きさで経過するのでpseudoaneurysmであり,△は遅れて出現し時間の経過と共にやや大きくなるのでextravasationである.ゼロフォム細片で塞栓し,塞栓後の図Fで白矢印の部位に示されていたpseudoaneurysmとextravasationが消失した.下段の図10〜図13を拡大したCTでも同様に▲はpseudoaneurysm,△はextravasationということになる.Double phase 造影CTで正確な診断が可能である.その後は順調に経過したが,第10病日に突然ショック状態となった→最下段画像.










下段CTでショックの原因は右肺動脈本幹と左肺下葉動脈の塞栓症(↑)であり,手術で血栓除去が行われ救命された.上大静脈が高濃度を示しているのは上肢から造影剤が注入されているからである.





  【参照症例】   1. 日本外傷学会臓器損傷分類2008
2. 外傷(Trauma)シリーズ1 【症例 TR 1】
3. 外傷(Trauma)シリーズ2 【症例 TR 9】

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