腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)4 EXPERT COURSE 解答 【症例 GE 17】

S状結腸癌による大腸閉塞.Colon obstruction with sigmoid cancer




図5で上行結腸(AC)も下行結腸(DC)も拡張しているので図6の1から肛門側へ追跡すると図8の16で閉塞する.図11の△から強く造影される壁肥厚が始まり,図9と図8で完全閉塞をきたす,造影効果の良好な病変(△)となる.図7のS1〜図9のS6が虚脱したS状結腸.S状結腸癌による大腸閉塞である.







文献考察:大腸癌の救急例95例、穿孔例の死亡率は34.6%と高い
大腸におけるoncologic emergencies 第33回日本腹部救急医学会総会会長講演
  Author:高島茂樹(金沢医科大学 一般消化器外科)
  Source:日本腹部救急医学会雑誌(1340-2242)20巻4号 Page491-503(2000.05)
  Abstract:イレウス63例, 腸重積6例, 穿孔26例(癌部9例、口側部17例)について検討した.イレウスの治療は右側結腸癌では緊急手術例で創部感染,腹腔内膿瘍など27.2%(3/19)に合併症を認めたが一期的切除吻合で致命的となった症例はなく,最近のintestinal long tubeの挿入技術の進歩から一期的切除吻合の選択は妥当と考えられた.左側大腸癌に対しては内視鏡的な経肛門的減圧チューブの留置により待期的に一期的切除吻合が可能で術後合併症もみられなかった.待期手術例の5年生存率は75.9%と良好であった.穿孔例の手術直接死亡率は34.6%(9/26)と高く,死亡例は術前ショック状態で,手術まで時間が24時間以上経過例であった.PMXを施行した4例中2例に敗血症から離脱が可能であったが,死亡例はいずれもMODSの中でも肝障害例であった.尚,耐術例の5年生存率は75.9%で,腹膜炎から離脱できれば通常の大腸癌と同等の予後の得られることが示された.

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