吐血またはタール便で来院する上部消化管出血例では内視鏡検査が第一選択であり,90%以上に出血病変が発見され即止血操作が可能である.今回のP26ー2の症例のように血腫が大量にあり出血部位が不明な時,何らかの理由で内視鏡検査をすぐに行えない場合にdouble phase造影CTが有用な情報を提供してくれる.上段の画像で胃に充満した不均一な内容物は吐血やタール便例では血腫と解釈する.早期相(Early)図7と図8の↑は晩期相(Delayed)図10と図11で薄くなり拡散している(白矢印)のでextravasationである.図8で▲が幽門輪なら十二指腸,△が幽門輪なら胃が出血部位である.胃カメラで胃前庭部前壁に出血性潰瘍(図A:↑)を認めHSE(高濃度生食水+epinephrine)注とアルゴンプラズマ凝固法により止血した(図B:白矢印).潰瘍はA2 stageになると周囲の粘膜下浮腫(周堤)が消失しつつある活動期のためCTでは描出されないことがある.
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