腹部単純写真で結腸が拡張しているようだが確定診断は困難.肛門に近い図47の1から逆行性に追跡すると全結腸が拡張していることが明確になる.図47の1〜図36の12は固形便である(参照症例)ので宿便性閉塞(便秘)を示唆するが,右側結腸は液状内容物を含みニボーを形成しているので麻痺性イレウス(Ogilvie症候群)を示唆する.電解質異常( Na:153.3mEq/l ,K:1.49mEq/l,Cl:117mEq/l )を認め,低K血症による麻痺性イレウスが便秘に重複したものと解釈した.下段の図21の100は最大径が12cm以上あり,さらに図21〜図24の↑は壁内気腫を示しており,両所見とも穿孔の危険因子として知られており何らかの減圧処置を考慮すべきである.図6〜図8のガス(▲)は太く,一直線に並んでいない部分(△)もあり便中のガスであろう.右側結腸の切迫破裂として緊急手術が行われ,横行結腸に人工肛門が造設され,術後は順調に経過した.
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