図1〜図9の↑は遊離ガスであり、図1〜図7で相当量の腹水がある(※)。最下段の図8と図9で胃の前庭部が浮腫性壁肥厚を示しているが潰瘍性病変を認めない。図6と図7で十二指腸球部も粘膜下浮腫(▲)を示しているが,胃と同様に明白な潰瘍性病変を認めない.胃は壁が厚いので発生する潰瘍は大きく深いので潰瘍病変を認識することはほとんどの症例で容易である.十二指腸は壁が薄く,潰瘍は小さく浅いのでthin slice CTでないとなかなか潰瘍は描出されない.従って,胃に潰瘍性病変を認めず,十二指腸球部が粘膜下浮腫を示せば十二指腸潰瘍の穿孔の可能性が極めて高くなる。このような読影法で大部分の胃潰瘍と十二指腸潰瘍穿孔の鑑別が可能である。手術で十二指腸球部前壁に4mm大の穿孔を認め、大網被覆閉鎖術を施行した。
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