肝臓に造影効果の弱い,不整な内部構造を示す腫瘍性病変が左葉(A)と右葉(B)に1個づつ示されている.図5と図6の△は“sentinel clot sign”と呼ばれる血腫を意味する所見で,図8〜図12の▲も不整な高濃度を示し血腫である.その両者以外の腹水は血液または血性腹水ということになる.出血部位は肝腫瘍の可能性が高い.Extravasationを認めないが責任病変はAかBか? 肝腫瘍は大きさよりも肝外に突出した部分の割合が高い腫瘍が腹腔内に破裂しやすいことと,Bの周囲に大量の血腫を認めることからBが出血部位と判断する.下段の血管造影で腫瘍AとBが造影されているがextravasationを認めない.図Cの門脈造影で門脈閉塞を認めない.腫瘍Bに選択的にファルモルビシン(抗癌剤),スポンゼルとリピオドールを注入し止血に成功した.α-フェトプロテインが1050ng/dl以上と高値を示したので肝細胞癌の破裂であろう.
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