上段のCTで肝臓の門脈内ガスを広範囲に認める.門脈内ガスはすべて腸管壊死を意味するか?,いくつかの文献でいろいろな数値が示されているが,12年間35病院の救急症例をレビューした筆者の経験では門脈内ガス単独,壁内気腫単独のいずれも70%,両者とも認めれば90%程度が腸管壊死または虚血によるものと感じている.下段の図15〜図18で小腸の壁内気腫(↑)を認めるので小腸壊死の可能性は極めて高いといえるが,上段の図10〜図12のviableな空腸壁(▲)と比較して壁内気腫の小腸壁は造影効果が明らかに低下しているので壊死と判断する.血管造影(図A)で閉塞はなく,SMA起始部から末梢まで全領域でspasmを示しておりNOMI(Non-Occlusive Mesenteric Ischemia)であろう.図10でIVCが扁平化しており重度の脱水が原因の可能性がある.
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