上段の単純CTで膵臓はやや腫大し,周囲に液貯留(△)と脂肪組織の濃度上昇(▲)を認めるので急性膵炎と診断するが,↑の高濃度(筋肉と同等またはそれ以上)な部分は血腫であり壊死性膵炎を強く示唆する. Du:十二指腸.総胆管結石や総胆管拡張を認めないが,すでに十二指腸に落下した可能性はある(血性総ビリルビン値は翌日から下降した).図13で虚脱したIVCは重度のhypovolemiaを意味するが,これを早期に是正しなければ膵への血流が低下し重症化の一因となると筆者は信ずる.下段の7日後の造影CTで膵頭部の一部(白矢印)以外は造影効果を認めず90%の壊死を起こした重症膵炎である.図1〜図3の皮下の浮腫(※)はseptic syndromeに陥り毛細血管の内皮機能が水分を保持できない状態を意味し,肺にも同様な事が起こり肺水腫を伴い呼吸不全に陥っているものと推測する.多臓器不全を合併し3週間で死亡した.
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