上段のCTで拡張した小腸は大部分がgasless(ガスが断面積の半分以下)で,図17〜図21の骨盤腔に腹水(※)を,図7〜図10で著明な腸間膜の濃度上昇(▲)を認めるので絞扼性小腸閉塞であろう.腸間膜の濃度上昇(▲)を示すグループに注目し図5から追跡すると,Aは図9のEで,1は図11の29で閉塞するのでclosed loopが証明され,図11の丸数字1から拡張し始めるのが口側の単純性閉塞の小腸である.図12では虚脱した肛門側の小腸(Sb)を認める.Closed loopの小腸は単純性閉塞の小腸と比べて壁の造影効果は減弱しているので虚血状態に陥っている可能性が高い.
下段の,ガストログラフィン注入後のCTでは,造影されていない右側小腸が絞扼されているであろうと容易に認識できる.上段のCT同様に追跡してclosed loopを証明すればいい.図31の丸数字1が単純性閉塞の起始部だから,図31のDと図32の29は連結するのではなくclosed loopの閉塞部位である.24時間経過して手術となり,大網異常裂孔ヘルニアを認め,盲腸から90cmの部位で絞扼され壊死に陥った50cm長の回腸(図A)が切除された.
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