下段のCTでガストログラフィンを含む小腸は口側の単純性閉塞の小腸である.薄いガストログラフィンを示す図30から追跡すると,Aは図33のRとなるが,次第に造影効果が強くなっていくので口側の小腸である.他方の1は数字順に展開し図46の63となり閉塞する.隣接する虚脱した小腸(Sb)を認め,単純性閉塞の確定診断がついた.イレウスチューブを挿入したが腹痛が軽減しないので第4病日に手術となった.手術痕の直下で回腸が腹壁に強固に癒着し完全閉塞を起こしていた.癒着剥離を施行し,術後は順調に経過した.
ガストログラフィン注入後のCTは極めて有用である.小腸閉塞例を300例以上掲載したので,拡張した小腸を追跡する修練を重ねれば絞扼性または単純性小腸閉塞の診断が80%の症例で可能になり,残りの20%はガストログラフィン注入後のCTでほとんどの症例で診断可能になると筆者は信じている.
|