図4〜図6の↑は魚骨であろう.図4〜図9で小腸に液状内容物の停滞(麻痺性イレウス)を認めるので魚骨が壁を穿通している可能性は否定できないが,腹膜炎を示唆する遊離ガス,腹水,周囲脂肪組織の濃度上昇や壁肥厚を認めない.腹部所見でも反跳痛や筋性防御を認めないので保存的に治療された.
下段の翌日のCTで魚骨は横行結腸(▲)に移動している.腹膜炎を示唆する上記所見を認めない.第3病日には腹痛が消失し食事開始,第5病日のCTで魚骨は消失していた.前日に“たかべ“という小魚の煮付けを食べたとのこと.消化管異物は先端が鋭利なものでも大部分が穿孔などの合併症なく排泄される(下記症例の解説参照)ので腹膜炎の腹部所見やCT所見を認めなければ保存的治療が可能である.
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