下段の図29〜図31の盲腸(Ce)は通常便を含み,拡張した小腸は機械的閉塞である.大部分がgaslessで,図1〜図4の肝周囲と最下段の骨盤腔(図56と図57)に腹水(※)を,図29〜図31で腸間膜の濃度上昇(▲:皮下脂肪と比較して)を認めるので絞扼性の可能性が高い.上段の図18から図20へと拡張し始める小腸(△)があり,真の閉塞部位と思われる図22の1から追跡する.5mmスライスCTだから拡張した小腸loopは長いが困難なく数字順に展開し図24の272で閉塞するのでclosed loop形成を証明できる.図22の↑が肛門側の虚脱した小腸だが,何故か口側の単純性閉塞の拡張した小腸を認めない.壁の造影効果は悪くないので壊死はなさそう.図16の白矢印は,両腎の造影効果に差がないので水腎症ではなく嚢胞(cyst)である.翌日腹痛が増強し,エコー検査で腹水が増量したので手術となった,bandによる,約90cm長の絞扼性小腸閉塞で,さらに180度の捻転が加わっていた.緩い絞扼であるため発症から5日も経過しているのに壊死のないまれな症例である(下記症例参照).
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