下段の図37〜図40で右側結腸の相当量の液状内容物(↑)は麻痺性イレウスを示唆する場合が多いが,単純性閉塞でもまれにみられる所見である.小腸は可動性があるので閉塞部位で肛門側と口側の角度が直線上に並んで一時的に不完全閉塞になり,口側の液状内容物が肛門側へ流入するのだと筆者は推測する.拡張した小腸は大部分がgasless(ガスがあっても断面積の50%以下)で,最下段の図49〜図52で腹水(※)を認めるが腸間膜の濃度上昇を認めないので単純性と絞扼性の両者とも可能性がある.最下段の図53から追跡すると診断が可能である.Aは図39のOで閉塞し図38の虚脱した小腸(Sb)となる.1は数字順に展開し,図1の154となり上行する.図27の69で虚脱するが,図39の閉塞部位(O)とはかけ離れているのでclosed loopではない.途中での狭窄または蠕動による虚脱と解釈すれば単純性閉塞との診断となる.手術所見:小腸間膜と腹壁間の索状物により狭窄(図39のO)を認め,そこから口側は拡張する単純性閉塞であった.索状物切離と狭窄形成術を行った.図27の69は急に屈曲した部位での虚脱で閉塞病変は認めなかった.
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