応用問題(Practical Exercises)16  解答 【症例 P16-2】

非閉塞性腸間膜虚血症・回腸虚血.NOMI(Non-Occlusive Mesenteric Ischemia) with ileal ischemia












図1〜図3の肝臓内ガス(↑)は肝辺縁から2cm以内の末梢に存在するので門脈内ガス(portal vein gas)である.図4〜図7の白矢印は胆管内ガス(pneumobilia)であり,図8で胆嚢内ガスも認められ,図9で胆嚢十二指腸瘻を形成しているのであろう.









SMA(△)の閉塞所見はない.S状結腸は図25の1から図27の30までである.下段で▲は回腸(臍を中心に右上から左下への斜線を境に回腸は右側に,空腸は左側に位置する傾向がある)の壁内気腫を示している.図24の白矢印は壁内気腫ではなく,大腸内の固形便と壁間のガスで,しばしば認められる所見であり異常ではない.門脈内ガスと壁内気腫の両者が認められれば腸管壊死の可能性は極めて高くなる.非閉塞性腸間膜虚血症(NOMI:Non-Occlusive Mesenteric Ischemia)による回腸虚血を疑い試験開腹が行われた.















手術で回腸にスキップする数カ所の虚血所見(図A:壊死に見える部分は温水で暖めたら色調が改善した)を認めNOMIと思われた.術直後に行われた血管造影(図B)でSMAに閉塞所見はなく,分枝は全体的に攣縮(spasm)を示し,NOMIである.SMA内カテーテルを留置し3日間塩酸パパベリンを持続注入したら腹痛は改善し,カテーテルを抜去した後に食事摂取が可能となった.


  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ4 【症例 ER 17】
2. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ16 【症例 EE 80】

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