図4〜図12の丸印の付いた空腸壁は良好な造影効果を示している.図10〜図16の上行結腸(Ac)と横行結腸(Tc)の壁もある程度の造影効果を認めるが,その他の腸管壁は造影されないか,かなり弱い造影効果を示している.ガスで充満した腸管壁の造影効果は判断不可能.SMAを検索すると図6から造影されなくなり(△)血流が途絶えている.図4と図5のSMA(▲)は図7と図8の単純CTでも高濃度を呈している(↑)ので,造影効果ではなく石灰化である.つまり,SMA起始部は強い石灰化により狭窄し,そこに血栓が生じたSMA血栓症と診断すべきである.SMA塞栓症は起始部から3cmの部位から末梢に起こすことが多い(参照症例).手術でTreitz靱帯から20cmの部位から横行結腸中央部まで壊死所見を認め切除したが,多臓器不全で2週間後に死亡した.
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