文献考察:Ogilvie症候群
1)沖永功太,安達実樹:偽性腸閉塞症(急性型,慢性型).消化器症候群(下巻)別冊 日本臨床 領域別症候群 6:140-143,1994
2)Vanek VW, Al-Salti M. Acute pseudo-obstruction of the colon (Ogilvie's syndrome). An analysis of 400 cases.
Dis Colon Rectum. 1986 Mar;29(3):203-10. PMID: 3753674
偽性腸閉塞症(pseudo-obstruction)とは,腸管に明らかな機械的閉塞病変はないが,腸内容の輸送が障害され腸閉塞症状を呈する症候群である.急性型の急性偽性腸閉塞症(Ogilvie's syndrome)と慢性型の慢性(特発性)偽性腸閉塞症(chronic idiopathic intestinal pseudo-obstruction:CIIP)に分類される.急性偽性腸閉塞症(Ogilvie's syndrome)の臨床的特徴は,1.機能的閉塞による結腸拡張である,2.結腸拡張が急激に起こる,3.適切な処置がなされないと盲腸の壊死,穿孔を起こす,4.多くはなんらかの基礎疾患を認める(文献2:表).本症は一過性の疾患であり,早期に発見し適切な治療を行えば改善する.胃管を挿入し,器質的疾患の除外と減圧目的に大腸ファイバー検査を行う.盲腸が12cm以上に拡張している,保存的療法で48〜72時間で改善しない,腸管の虚血や穿孔が疑われる症例は手術(盲腸に人工肛門造設)の適応である.
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