症例 EE 91 EXPERT COURSE 解答 【症例 EE 91】

腸石イレウスsmall bowel obstruction due to an enterolith




2段目の図5〜図9で結腸(上行結腸:Aと下行結腸:D)は虚脱しており小腸閉塞である。図15と図16のガスを含むスポンジ状の小腸内糞便様の内容物(▲)に注目する。それは図16の1から図20の6へと拡張した小腸へ、他方は図12〜図20の↑の虚脱した小腸へと連続し、図15と図16の小腸内糞便様の内容物(▲)が閉塞部位であり、閉塞の原因である。手術にて2cm大の円形の硬い固形物(左上図21)による回腸での閉塞を認めた。その結石の成分分析は「同定できない胆汁酸の混合物」と報告され、腸石enterolithであることが判明した。図3〜図6の△は十二指腸憩室であり、手術にて他に憩室や狭窄部を認めなかったので十二指腸憩室が腸石の形成された場所と思われた。
















腸石enterolithは真性腸石と仮性腸石に分類される。胃石や胆石など別の部位で形成された結石が腸管内へ移動したものや、経口摂取された物質が沈殿してできた結石が仮性腸石と呼ばれ、真性腸石は正常の腸液を主成分として腸内で形成された結石で、胆汁酸腸石とカルシウム塩腸石がある。憩室、狭窄や盲嚢などの腸管内容物の停滞する特殊な状態(機械的因子)と、小腸内のPHや沈殿物の溶解度などの化学的因子が関与すると言われる。肝臓より排泄された胆汁酸に腸内細菌や酵素が作用して腸管内容物が停滞する場所で二次性胆汁酸の腸石が形成される。

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