膵臓は門脈左側縁の部位を頚部,頚部から脾臓側先端までを2等分して体部(B)と尾部(T),頚部から右側を頭部(H:頸部と鈎状突起を含む),SMA背側を鉤状突起と命名されている. 急性膵炎診療ガイドライン2010(第3版)から:急性膵炎のCT所見は膵腫大,膵周囲〜後腹膜腔(主に前腎傍腔),結腸間膜ならびに小腸間膜の脂肪織濃度上昇,液体貯留,仮性嚢胞形成,膵実質densityの不均一化,膵壊死,後腹膜腔および腸間膜の脂肪壊死,血腫,外傷時の膵断裂像などがある.
急性膵炎で膵腫大(頭部で椎体の1横径,体尾部で椎体の2/3以上)が認められる例は多くなく,CT診断には膵周囲の炎症所見や液貯留が中心となることが多い.
図11で膵頭部(H)は3cmで腫大とはいえない(図5で椎体横径は5cm)が,図6と図9では膵体部(B)と尾部(T)が3cm大と腫大している.全画像で後腹膜腔に腹水(※)を認め,急性膵炎である.脾臓と比べて膵実質の造影効果の低下も急性膵炎を裏付ける.総胆管結石を認めないのでアルコール性膵炎であろう.膵壊死があるかどうかは微妙なところである(判定不能)が,10日後に多臓器不全で死亡した経過を考慮すると,2,3日後のCTが撮影されておれば,広範な膵壊死を認めた可能性が高い.Du:十二指腸.
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