応用問題(Practical Exercises)9  解答 【症例 P9-7】

上腸間膜動脈塞栓症.SMA embolism
















心房細動のある人が腹痛を訴えたらまず上腸間膜動脈(SMA)塞栓症がないか検索する.SMAは図12で始まり(SMA1),いったん上行し(図11:SMA2とSMA3)下行する.図14のSMA6までは良好な造影効果を示すが,図15で部分的に造影され(↑)図16から閉塞しているので塞栓症である.図13〜図16の空腸(△)と最下段の図33〜図37の直腸(R)以外は腸管壁の造影効果は弱く,広範囲の壊死または重度の虚血を示唆する.最上段の図5〜図7の▲は,図7で楔形を呈しているので脾梗塞であり,塞栓症を裏付ける.下腸間膜動脈は認識できないが,下行結腸壁(図13〜図16:Dc)の造影効果が弱いのは,図10で虚脱したIVCは重度の脱水を意味し,NOMI(Non-Occlusive Mesenteric Ischemia.非閉塞性腸間膜虚血症:血管攣縮による虚血)の要素が加わっているのであろう.緊急手術となり,SMAは上部空腸枝より末梢で閉塞を認め,Treitz靱帯から80cmの部位から右側横行結腸まで大量壊死を認めた(図A).


















  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ16 【症例 ER 76】
2. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ16 【症例 ER 78】

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