一部の大腸と小腸に認める高濃度の内容物は前医で使用した造影剤であろう.図6で上行結腸(Ac)は6cm以上に拡張し,下行結腸(Dc)は6cm以上の拡張はないが液状内容物は肛門側の閉塞を示唆するのでそこから追跡する.数字順に展開し,図21の20で閉塞する.原因病変は図18〜図20の↑で強い造影効果を示しているのでS状結腸癌である.図5で上行結腸の最大径は12cmあり,穿孔を起こしやすい3要素の一つであり(参照症例の文献参考),即刻減圧法を考慮すべきである.正確なCT診断がなされず,大腸閉塞を疑いガストログラフインで注腸造影が施行されたが,図Bで下行結腸が良好に造影されたために,図Aの腫瘤(△)と狭窄部(▲)所見は見落とされた.経鼻的にイレウスチューブを挿入し9日間も経過観察され.10日目に血圧が低下し手術となった.S状結腸癌による大腸閉塞と盲腸穿孔による糞便性腹膜炎を認めた.
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