造影早期相CTと図31〜図34は省略.上段のCTで▲と△は造影効果の強い皮膜様の輪に囲まれているのでそれぞれ単独の膿瘍で,他に肝両葉に多発性の小膿瘍を認める.図29と図30の腹水(※)は肝辺縁に近い膿瘍が腹膜炎を伴っているからであろう.5日間の抗生剤経静脈的投与で症状の改善が見られなかったため,肝動脈(図35)からの動注(CMZ1gを8時間おき)を追加した.以後は発熱,心窩部痛と検査所見が急速に改善し,下段の1週間後のCTでも治癒傾向が確認され,3週間で全治退院した.△の膿瘍穿刺液の培養でstreptococcus intermediusが検出された.多発性肝膿瘍には抗生剤の動注が極めて有効であることを強調したい.
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