応用問題(Practical Exercises)8  解答 【症例 P8-2】

絞扼性小腸閉塞(壊死).Strangulated obstruction of small bowel with necrosis










図1で盲腸(Ce)と回腸末端(Ti)に液状内容物を認めない,拡張した小腸はgaslessで,図5〜図7の▲は腸間膜間の腹水を示しているので絞扼性小腸閉塞を疑うべきである.図9から追跡すると図3のGと図4の10で閉塞するのでclosed loopを形成している.図7でS状結腸(Sig)と比べて3とCの壁の造影効果はやや弱いが,まだviableの可能性がある.口側の単純性閉塞の起始部は指摘できない.










上段の翌日のCTで腸間膜間の腹水(図11〜図17:※)が増加し,骨盤腔内にも腹水(図16〜図20:※)が出現し,絞扼された小腸は閉塞部位が前日のGからHへと,10から16へと移動,増加しclosed loopの長さが1.5倍に延長した.図13の丸数字1〜図11の10が口側の単純性閉塞の小腸である.図14で絞扼された小腸壁(↑)が単純性閉塞の小腸壁(△)と同等な造影効果を呈しているように見えるが,closed loopを形成している小腸が翌日に造影効果が増強することは考えにくく,単純CTが撮影されていれば高濃度を示し出血性壊死と診断できたと信ずる.













第3病日では絞扼された小腸の長さは前日と変わらないが,骨盤腔内の腹水(※)は増加している.絞扼された小腸壁の造影効果がさらに改善されたように見えるが,出血性壊死が進行したと解釈すべきであろう.腹膜刺激症状が出現したので手術となり,索状物による,壊死に陥った絞扼性小腸(回腸)閉塞が確認された.図1〜図10でclosed loopを証明できたら合格.
  【参照症例】   1. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ3 【症例 RE 11】

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